フランスの哲学者、ジル・ドルゥーズは、「これ性」という概念を扱っている。この言葉の背景には、世界は出来事でできていると捉えようとした。例えば、同じボールペンでも自分で買ったものと、他人からもらったものでは、その背景にある出来事が違う。このように「唯一無二のこれこそこれだという出来事の特異性」のことを「これ性」と言っている。

つまり、これ性は比較では考えない。彼は比較し競争し追及するといった、同一性を大事にするのではなく、差異や多様性を大事にする思想を考えていた。

現代社会では、この偶然な出来事の特異性を、まるで入れ替え可能かのように扱い、本来比較できないはずのことが比較され、出会いが失われ、自尊心を傷つけられている人たちがたくさんいるように見える。

勉強の結果ではなく、勉強の過程という「出来事」を大事にすることで、比較や競争という土台から一回降りてみてはどうだろうか?勉強の結果は同じでも、過程の中での出来事は、入れ替え不可能な、あなたがあなたである唯一の固有性ではないだろうか?

正解が一つではない記述問題がきっかけとして、差異や多様性を大事にするような教育が拡っていけば、グローバルな社会でももっと連帯できるのではないだろうか。